午後のコーナー遊びをする幼児保育室、
好きなコーナーを選んで少数のお友達と
関わり合いながら子どもたちが遊びを
展開していきます。
人との関わり方、手先の巧緻性、
ルールの理解力など様々な視点から
一人一人の「育ち」を
垣間見ることができる大切な時間です。

そんな中、表情を曇らせる5歳児の女の子。
やがて肩を震わせて悲しそうに
泣いています。
「どうしたの?」とたずねても
込み上げる涙に言葉がかき消されていくご様子。
ようやく話し始めようとしたとき
「自分は(上手く)話せないから、
そばにいた○○ちゃんから話を聞いてほしい。」
と言い、呼ばれた○○ちゃん。
なぜかもう一人訳ありの表情でついてくる○○くん。
どちらかと言えばおとなしく、
決して饒舌ではない3人が集まりました。
小さな言葉を拾い上げながら時間が
どんどん経っていきます。
悲しかったり、悪かったなと思っていたりする
ネガティブな感情を抱えながら誰かに話をするのは、
大人でもあまり得意な人はいないかもしれません。

こんな時は焦らず、先入観を持たず、
この子たちが安心して話せるようにと
頭をフル回転させて
ちょっと別のお話をしてみました。
ようやく気分が変わったのか、
次第に状況説明に呼ばれた○○ちゃんが
スルスルと話し始め、泣いていた女の子にも
「なんで泣いてたか話してみ?
間違っててもいいから話してみ。
ここは間違えてもいいところ。
だって保育園やから!」
とこれまでに見たこともないような
自信に満ちた表情で
ファシリテーター役になっているのでした。

私がさっき話したことを、
自分の考えのように話してくれる姿が
何とも逞しく見えました。
残りの二人も、私が言うよりも
何倍ものリアリティを感じながら
三人の会話が成立していき、
心と言葉の掛け違いが
ほどけていくのが目に見えるようでした。
本当に、子どもの力はスゴい!と思い、
実は途中で根負けしそうになっていた自分に
未熟さを思い知らされた出来事でした。