楽しく遊んでいるかと思ったら、
だんだん雲行きが怪しくなり
ついには涙を流し始める子、
一方で顔を真っ赤にして
「自分は悪くない!」
と主張する子。
これは珍しくはない幼児クラスの一場面ですが、
先日も幼児クラスで子どもたち同士が
じゃんけんゲームに盛り上がっていたとき
同様のことがありました。
こんな時私は、大きな声を出して
その二人のぶつかり合いを止めずに
なるべくそっと近くに
寄って耳を澄ませます。
涙を流して、顔を真っ赤にしてまで
「伝えたい!」ことが
それぞれ何なのかに興味を持って
注意深く聴いてみます。
そのうち二人は私の視線に気づき、
「白黒つけてくれ!」と言わんばかりに
こちらを見つめます。
「それではもっとお話をよーくきかせて」
とお願いし、静かな場所で
さらに二人の話を聴いてみると、
物事の真相よりも
「こんなに僕を悲しい気持ちにさせた相手は
悪いに違いない」
という強い気持ちにたどりつきました。
二人の主張を順番に聴き、
ちょっとだけ私のお話を聞いてもらい、
「じゃあ、今からどうしたらいいと思う?」
と尋ねると
「もう、たいくつやんな?」
「うん、遊びに行こう」
と言って手をつないで仲良く走って行きました。
たくさんの言葉を使って
自分の気持ちを話せたこと、
相手の言うことも聞けた二人に
成長の尊さを感じました。
ずっと以前にある保護者の方から
「うちの子この頃「で、誰が悪いん?」と
口癖のように言うんです。」
とご相談いただいたことがあります。
相手を故意に傷つけたりしたことには
もちろんきちんと謝って
その行為を改めなければなりませんが、
そうでなくとも人は生きていると
いろんな気持ちを抱えてしまうものです。
そんな時、「白か黒か?」と
必ず誰かを悪者にしなければならないとすると、
その人生は辛くて困難で
孤独を感じることが
多くなるような気がします。
より豊かで彩のある未来を
歩む子どもに培ってほしい
「人間関係力」
について、未熟ながらも
子どもたちとの保育生活の中で
探求していきたいと思います。