先日、卒園児のお父様とお話しする機会がありました。お子様はもう大学生。十数年前の保育園時代の思い出を語ってくださいました。
当時、保育参観で行ったおすもう大会が印象に残っておられたそうです。「子どもたちの活動に勝ち負けや、順位をつけることを一部ためらう風潮もある中、勝って喜び、負けて悔しがる姿を観て、これって大事なことやなあと思ったんです。」と話してくださいました。
ふじのもり保育園のお相撲大会はトーナメント制で、各クラス最後まで勝ち上がった園児は横綱として表彰されます。コロナ禍で一部制限しながら行っておりましたが、今年度から通常のスタイルになりました。乳児期から発達段階に合わせて取り組みを行います。乳児期はお名前を呼ばれて1対1で向かい合うだけでもとっても度胸のいるお年頃、そんなふうにして大きくなり、幼児クラスにもなれば四股名を呼ばれて土俵に上がったときの眼差しはどの子も真剣です。

真っすぐに相手を見つめ、一礼に始まり「はっけよい のこった!」で真剣勝負が繰り広げられます。あっけなく決まる一番もあれば粘りに粘る一番、思わぬ番狂わせもあったり…。勝っても負けても必ず一礼をして終わります。飛び跳ねて大喜びする子、保育士の胸に飛び込んで号泣する子、どの子も心と体が汗をかき、揺さぶられる瞬間です。

大人になってお相撲をとることはあまりないかと思いますが、報われない思いや、思い通りにいかない悔しさに直面することはありますよね。そんな時、涙をぬぐい保育士の腕から離れて立ち直った時の強さが、生きる力となってくれるのだと願っています。間もなく運動会。勝っても負けても、上手くできてもできなくても、素敵な輝きの瞬間が楽しみです。