夕方が近づく頃、4.5歳児の保育室はクラスそれぞれで子どもたちが輪になって集まり「お帰りの会」が行われます。お当番さんが進行したり、1日を振り返って自分の気持ちを発表したり、お友達に質問をしたり、明日の活動を考えたり…。最初はドキドキや恥ずかしさもありますが、ほぼ毎日行うことで子どもたちも心づもりするのでしょうか?4月の終わりごろには楽しそうなクラスの「輪」から和やかな雰囲気が醸し出されます。5歳児の秋くらいからはそれはそれは逞しく、自分の言葉を用いて表現したり、お友達の意見に耳を傾けたりと、論理的思考の芽生えに驚かされることもあるくらいです。
令和5年4月に施工された『こども基本法』基本理念の3番目に「年齢や発達の程度により、自分に直接関係することに意見を言えたり、社会の様々な活動に参加できること」と記されています。夕方のお帰りの会の光景がものすごく大切な時間に思えます。今や、主体性という言葉は耳慣れていますが、子どもの主体性を育むためには私たち大人が子どもの権利について正しく理解し、その権利が保障されるように努めなければなりません。大人がそれを理解せず、自分の経験と勘で一律の枠に子どもを当てはめるようなことがあってはなりませんが、遥か昔、私自身学生だった頃にはそんな苦い経験に違和感を抱いたことを記憶しています。あらゆる子どもの権利の実現を考える時に大切な4つの原則を下記に示すとともに、心に刻みます。
「子どもの権利条約」(日本ユニセフ協会ホームページより)
①差別の禁止(差別のないこと)
②子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと)
③生命、生存及び発達に対する権利(命を守られ成長できること)
④子どもの意見の尊重(子どもが意味のある参加ができること)