先日、幼児クラスの自由遊びの時間に、
一人の女の子がやってきて、
私に満面の笑みを向けてこう言いました。

「バ~カ。」

そう言って無邪気に走り去る
その子の後を追いかけ、

「今、何て言ったのかな?ちょっとお話しようよ。」

と二人で静かなお部屋へ行き、
向かい合うことに。

「何て言ったのかもう一度聞かせて。」

彼女も雰囲気を察したのか
先程の無邪気な表情から一変、
うつむいたまま沈黙しています。
ようやく開いた貝の口から絞り出すような声で

「バ・・・バナナのおうさまって言った」

「?!」

バ~カと言ったことを良くないことだと
言い聞かせようとしていた私は仰天!
その場を何とかやり抜けようとする
彼女の頑固な意志と、想像力に
閉口してしまいました。

生き抜くための知恵は、
こんなにも幼い時期から芽生えているのかと
人間の不思議を感じます。

大人は子どもの不適切な言動や嘘に
過敏になりがちです。

思わず笑ってしまうたわいもないものから、
人に迷惑をかけたり傷つけたりするものまで、
その範疇(はんちゅう)も年齢とともに
複雑化、多様化していきます。
後者の場合には
真剣に向き合い咎めることも大切ですね。
でもそうでない場合、
継続する人間関係の中では、
大様に構えるゆとりも必要かなと
考えさせられる出来事でした。